今回は、7月末に結果が発表された「全国学力・学習状況調査(英語)」と「英語教育実施状況調査」を比較した結果を記載します。
1週間ほど前に、今年度実施した「全国学力・学習状況調査」の結果が発表されました。
これは全国の小学6年生と中学3年生が、春先にテストを受験したものになります。
・小学6年生:国語、算数
・中学3年生:国語、数学、英語
以下の記事の通り、中3の英語の「話す」テストで正答率が12.4%で話題になりました。
全国学力テスト、中3英語「話す」の正答率12・4%にとどまる…「書く」も24・1% : 読売新聞
英語の全国的調査で有名な、「英語教育実施状況調査」は今年の3月に発表されました。
これはテストを受験するのではなく、中学や高校の英語の先生がアンケート形式で回答するものです。
ざっくり言うと、中学3年生だと英検3級レベルに達している生徒がどれくらいの割合いるかの調査になります。
中高生の英語力「向上」も地域差“鮮明” さいたま市・福井県がダントツなワケ 文科省英語教育調査|FNNプライムオンライン
令和5年度 全国学力・学習状況調査 報告書・調査結果資料:国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research
「英語教育実施状況調査」
令和4年度「英語教育実施状況調査」の結果について:文部科学省
この2つの調査ではどちらも中学3年生が対象になっており、かつ教科では英語が対象になっていることもあり、どれだけ相関があるのかを調べてみようと思いました。
(比較した調査)
「全国学力・学習状況調査」(以下、学力調査)
→令和5年度(今年度)の中学3年生が、英語のテストを受験した結果
「英語教育実施状況調査」(以下、英語調査)
→令和4年度(昨年度)の中学3年生が、どれくらいの割合の生徒が英検3級レベルに達しているのかを先生が回答した結果
※上記の通り、調査学年が異なるのですが、昨年度の学力調査は英語のテストがなかったようなので、学年の違いはそこまで大きく変わらないだろうという推測しています。
ちなみに、英語調査は中学3年生が英検3級を「実際に取得している割合」と「取得していないが、英検3級レベルに達しているだろう割合」を合計したものですが、今回使用した割合は、「実際に取得している割合」を使用しています。
中3の「英語教育実施状況調査」と「全国学力・学習状況調査(英語)」比較
*項目説明
・順位①:英語調査で、中3が英検3級を取得している割合の順位
・英語調査:英語調査で、中3が英検3級を取得している割合
・順位②:学力調査で、中3のテスト結果の平均点数の順位
・学力調査:学力調査で、中3のテスト結果の平均点数
・①-②:順位①-順位②
政令指定都市を持っている都道府県については、政令指定都市は含まない結果です。(例:埼玉県はさいたま市を除いた結果)
【26位から50位】
【51位から67位】
「都道府県」と「①-②」に色がついている都道府県は下記の通りです。
○黄色の都道府県→2つの調査結果でほとんど差がなかった都道府県
⇒さいたま市、横浜市、東京都、石川県、千葉市、滋賀県、岡山市、⾧野県、山梨県、北海道、鳥取県、北九州市、新潟県、宮城県
さいたま市、横浜市、東京都、石川県は両方の結果とも良い結果が出た都道府県になりますね。英語調査の信頼度が高い所と言えるのかなと思いました。
○灰色の都道府県→英語調査は良かったが、学力調査は良くなかった都道府県
⇒大阪市、和歌山県、熊本県、宮崎県、福岡県、広島県、岩手県、沖縄県
大阪市と和歌山県は、英検3級の取得率が高いものの、学力調査があまり良くなかったようです。とは言いつつ、成績が二極化している可能性もあり、説明は難しいですね。
○青色の都道府県→英語調査は良くなかったが、学力調査は良かった都道府県
⇒相模原市、静岡県、神戸市、名古屋市、静岡市、札幌市、仙台市、愛知県、浜松市
この中でも学力調査で1桁順位に入っている、相模原市、名古屋市、仙台市、愛知県は、英検にそこまで熱心ではないが、学力調査でしっかり点が取れているところですね。
上記以外では、英語調査で圧倒的1位の福井県は、学力調査では11位となっています。これをどう見るか。。。
福井県はGTECを推進していると聞きますが、英検3級レベルの生徒が多い割に学力調査は圧倒的ではないので、どう両立させるかが今後のカギになりそうです。
最後に、上記一覧表を学力調査の順位で並べた表を記載しておきます。
【1位から23位】
【26位から46位】
【50位から67位】