今回は、早稲アカと他の塾の損益計算書を比較してみました。
損益計算書は、財務諸表の一つで、ある年に、
売上がいくらあり、費用がどれくらいかかり、結果として利益がどの程度出たのかを表すものです。
以前、下記で触れましたが、早稲アカの利益はそこまで多くないように見えます。
早稲田アカデミーの中期経営計画 - WinningTicket’s blog
それが早稲アカ特有のものか、他の塾でも同じなのかを調べてみることにしました。
損益計算書は上場している会社は開示されていますが、上場していない会社は開示していないので、何気にサンプルは多くありません。
また、色々な事業に取り組んでいると、塾としてどの程度儲かっているのかが分かりにくくなります。
上記を踏まえて、以下の塾で比較してみました。
・早稲田アカデミー →首都圏中心
・STEP →神奈川県中心
・東京個別指導学院 →首都圏中心
・秀英予備校 →全国にありそうです
・市進ホールディングス →首都圏中心
*金額の単位は(百万円)です。
*決算の数字は最新の年度決算から持ってきています。
(主な項目説明)
売上原価:講師の人件費や塾の家賃等の、塾を経営する上でかかる主な費用
販管費:事務の方の人件費や広告宣伝費等の費用
当期純利益:最終的な利益
主要な項目を見ていくと、
→早稲田アカデミーは売上高比率で3.9%と随分低いです。ただ、他も随分低いですね。STEPの19%は群を抜いています。
・原材料費(売上原価)
→分からない塾もありますが、ここは教材費と模試の費用です。早稲田アカデミーはここが多くかかっていますね。模試の数が多いことが影響しているのかもしれません。
・労務費(売上原価)
→講師の人件費だと思われますが、売上比率だと早稲田アカデミーが一番低く驚きました。(私はここが多いと予想していました。)売上が一番多いのも確かですが。
・地代家賃(売上原価)
→ここも売上比率で早稲田アカデミーがそこまで多くありません。立地的には良いところにありますが、そこまで校舎が多くないからかなと思っています。
・売上原価
→売上原価のトータルとして、早稲田アカデミーは売上比率で72.4%で、そこまで多いことはなさそうですが、他と比較して原材料費が多くかかっていることが分かりました。ただ、力の源泉な部分もあると思うので悩ましいところかもしれません。
→早稲田アカデミーが売上比率で高いですが、校舎にそれなりの数の事務の方がいますもんね。企業が多くなってくると本社の体制含めて増えていくかもしれません。STEPの低さが目につきます。事務にそこまでコストをかけていないということが分かります。
・広告宣伝費(販管費)
→印象として、早稲田アカデミーはそこまで大々的に宣伝をしているイメージがないので、イメージ通りでしょうか。東京個別指導学院が多くかかっていますが、確かに電車でよくみかけますね。ここでもSTEPの低さがダントツです。恐らく実績と口コミで広がっていると思われ、広告にかける必要がないものと思われます。
・販管費
→販管費のトータルとして、早稲田アカデミーは売上比率で21.2%で、少し多いのかもしれません。なによりもSTEPの5.8%は圧倒的な低さです。ここが当期純利益の多さに繋がっていますね。
纏めると、早稲田アカデミーは売上原価と販管費にそこまで過剰にかけている訳ではないですが、他と比較すると原材料費、労務費(販管費)に多くかかっています。
原材料費については「外注費率の高いオンライン英語レッスンの受講生が増加していることに加えて、小学生向け模試を選択制から必修制に段階的に切り替えたことが大きい~」ということです。
ここだけ見ると、オンライン英語レッスンを内製化できるかは一つの鍵なのかもしれません。
それにしてもSTEPは利益を出しつつ事業展開、合格実績がうまくいっていそうです。
※情報取得先
【早稲田アカデミー】
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4718/ir_material_for_fiscal_ym9/119514/00.pdf
【STEP】
https://www.stepnet.co.jp/company/data/fisco/step20211220.pdf
【東京個別指導学院】
https://www.tkg-jp.com/conts/wp-content/uploads/2022/07/Factsheet_2022_1Q_20220711sbM9v46u.pdf
【秀英予備校】
https://www.shuei-yobiko.co.jp/cms/files/shuei/shuei02/0723/IiuSXlNM.pdf